ものづくり分野における女性活躍就業への取組み事例②

概 要

 本事業は(公社)兵庫工業会様が兵庫県と連携し、ものづくり中小企業における人手不足解消、ダイバーシティ経営による競争力強化を目的とするもので、2019年より取組んでおられます。文系女性が活躍できる業務を見出し、解決策を一緒に考える仕事です。当方は一昨年からコーディネーターとして参画し、経営コンサルタントして組織的な課題に踏み込むことを期待されました。今回は極東産機(株)を担当いたしました。同社は1948年設立の老舗畳製造機器メーカーです。次世代を担う設計・開発部門の若手リーダー約8名に参加いただきました。
詳しくは、兵庫業務仕分けロールモデル集でご紹介しております、是非ご覧ください。

経営者が抱えていた問題点

  • 設計・開発部門の慢性的人材不足
  • 女性人材が少ない
  • 中間管理職が少ない
  • 次世代のリーダーを育てたい
  • 事業承継を控え、次世代の経営体制構築

実施したこと

  • 対象業務を確認するため工場視察
  • 経営層へ経営方針や従業員への想いを確認
  • プロジェクトメンバーと面談・打合せ
    (個性確認、業務内容のディスカッション)
  • ワークショップ形式での課題解決
    (女性従事可能な業務の見極め)

ワークショップ内容

 2グループに分かれ、若手リーダー中心に文系女性が対応できそうな業務を洗出し、どうすれば従事可能になるのかを話合いました。女性が活躍できる業務仕分けは以下の基準で行いました。
①入社後すぐに従事可能 ②一定の研修があれば従事可能 ③従事するには何らかの課題解決が必要

議論のポイントは、理系知識をどのように文系人材に伝えるのか。

 次に、マネジメント人材育成の一環として、経営課題解決のディスカッションに取組んでいただきました。
議題は、「業務仕分け結果を実現するために、どうすれば女性登用が促進されるのか」についてです。
これまで理系人材を採用してきた当社にとって、文系人材の可能性をどのように見出し、育てていくのかを考えるのは難しかったと思います。また、このような経営課題をテーマとし、互いの意見をすり合わせながら答えを導きだすことは初めての経験でした。真の問題に辿り着くまで、根気強く議論を重ねている姿には感動しました。

 最後に、経営層の前で業務仕分け結果と、女性登用を促進するための解決策について、プレゼンテーションを行っていただきました。メンバーは全て初めての経験で緊張されていましたが、準備をしっかり行いとても堂々とプレゼンテーションをしていました。

ワークショップ風景
プレゼンテーション風景

取組んだ効果

感想を踏まえ状況をお聞きしたところ、極東産機様から以下のコメントいただきました。
・メンバーが主体的に動くことで、課題を解決をする提案が出たことが評価できる

・第3者(コンサル)が入ることで、従業員の想いや新たな個性を知ることができた
・人材に対する課題と解決の方向性を再認識できた

最後に

ものづくり企業の特有の課題

 今回の支援を通じて、ものづくり企業で必要とされているスキルと、今後企業の持続的成長に求められているスキルに乖離があることがわかりました。
 当社の従業員は非常に貢献意欲が高いです。顧客が求める要求に120%応えるため、強い責任感を持って製品製作に取組んでいます。彼らのモチベーションは、製品が不具合なく納品され、顧客から「ありがとう」と感謝される時です。責任感が強いあまり、仕事が俗人的になってしまう傾向もあり、いわば職人集団です。一方で、経営層は今後事業承継に向け、マネジメントができる人材を求めています。この職人気質の文化からマネジメント人材を継続的に生出す仕組み作りが課題になると思います。

マネジメント人材育成に向けて 

 従業員のモチベーションの矛先を、「人を育てることで成果を出すこと」に変えていくことをご提案しました。今回のワークショップはそのきっかけ作りとして実施し、プロジェクトメンバーは、見事にその解決策を見出すことができました。今後は、皆さんで出されたアイデアをブラッシュアップをし、具体的な実行プランを作成されることでしょう。

 手探りで進めて参りましたが、無事終わってホットしました。本事業に関わらせて頂いたことに感謝いたします。本事業成果を取り纏めたロールモデル集は、兵庫業務仕分けロールモデル集からご覧いただけます。本事例は7~8ページですが、是非お手に取ってご覧下さい。

ロールモデル集表紙
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